岡山芸術交流 2025 OKAYAMA ART SUMMIT

1964年、フランス生まれ。現在はパリにて制作活動。映画、ドローイング、テキストなど、さまざまなメディアにわたる作品で高い評価を得ている。
パレーノは展覧会を媒体として捉え、その構築をプロセスの中心に置くことで、展示体験を根本的に再定義することを試みてきた。個々の作品の集合体としてではなく、一貫した「もの」としての展覧会の可能性を模索し続けている。
国内では個展2024年「この場所、あの空」がポーラ美術館（箱根）にて開催。その他の近年の主な展覧会に2025年「Haus Der Kunst」ミュンヘン、2024年「VOICES」リウム美術館（ソウル）、2023年「Marilyn」 エスパス・ルイ・ヴィトン、ミュンヘン、2022年「Echo2: a Carte Blanche to Philippe Parreno」 Rotunda of the Bourse de Commerce、ピノーコクション、パリ、「La Quinta del Sordo」プラド美術館、マドリード、2019-2020年「A Manifestation of Objects,」（ワタリウム美術館、東京）、2017年「Synchronicity」ロックバンド美術館、上海、2016年「Anywhen, Hyundai Commission 2016」タービンホール、テート・モダン、ロンドン、2015年「H {N)Y P N(Y} OSIS」パーク・アヴェニュー アーモリー、ニューヨーク、2014年「The Illusion Of Light」フランソワ・ピノー財団 パラッツィオ・グラッシ、ベネツィア、2013年「Anywhere, Anywhere Out Of The World」パレ・ド・トーキョー、パリ、2012年「Philippe Parreno」バイエラー財団、バーゼル、他。ヨーロッパをはじめ、アメリカ、日本、韓国を含むアジアなど各国の主要美術館、ギャラリーにて展覧会歴多数。
また、岡山では、2014年「歴史まちづくり回遊社会実験」の一環として開催した現代アート展として実施された「Imagineering OKAYAMA ART PROJECT」、岡山芸術交流2016にアーティストとして参加。

シェヘラザード・アブデルイラー・パレーノはパリを拠点とするアートディレクター、クリエイティブ・コンサルタント。応用美術を学び、2004年に有名なESAG Penninghenを卒業後、ロサンゼルスの映画スタジオでビジュアル・コミュニケーション分野でキャリアをスタート。その後、上海とバーレーンで働き、パリに戻る。ファッションとラグジュアリーの交差点で20年間を過ごし、2次元と3次元のデザインを行き来しながら、両分野のクリエイティブ・マスターズにアドバイスし、パターン認識、空間記憶、プロポーション、プロジェクションを描くことに独自の才能を開花させた。公共空間、インテリアデザイン、ファッションから離れたアブデルイラーは、人間の経験とその環境に対するより深い理解に惹かれ、人間の究極の織物である皮膚の領域を探求し始めた。2018年、彼女は空間として見る人間の結合組織の効果について探求し出した。新しいテクノロジーとそれが生物に与える影響に情熱を注ぐ彼女は、NASAや顔面再建の第一人者などが使用するマイクロカレントの有益な特性に注目した。ロンドンとパリでの厳しい修業期間を経て、パリ中心部にモモ・スキン・スタジオを設立。このスタジオは、心の安らぎと顔という景観の表皮と心理的なつながりに焦点を当てた先駆的な存在である。パレーノは、ファッションやアートの世界で最も有名な人たちとコラボレーションし、インスピレーションを与え続けている。

マリー・アンジェレッティは、彫刻、映像、写真、ドローイング、インスタレーションなど多様なメディアを横断しながら、日々の経験に潜む偶然や予期せぬ出来事に応答する自由闊達な制作を行っている。彼女の作品は空間、時間、動き、そして人間の身体を生々しく扱いながら遊びを生み出す。アンジェレッティのプロジェクトは、最終的に確定された完成形に落ち着くことを拒む傾向があり、ときに展示を重ねるなかで変化し続ける。作品はその制作過程の脆さを受け入れ、そうすることで生と死のありように寄り添っている。

岡山芸術交流2025キュレーター。マルティーヌ・ダングルジャン＝シャティヨンは、ロンドンを拠点に、アート、映画、ファッション、テクノロジーの交差点で活躍するクリエイティブ・プロデューサー。社会実験兼映画大作『DAU』、ラスベガス・スフィアのこけら落としとなったU2の公演、ルイ・ヴィトンの大規模なファッションショーなど、カルチャー界で最も野心的かつ先鋭的なプロジェクトに携わってきた。2004年にはロンドンのThomas Dane Galleryの設立パートナーとして、フィルム、ビデオ、デジタルシミュレーションを専門に扱う。フィリップ・パレーノによって岡山芸術交流2025のキュレーターに任命され、現在はパレーノの長編映画を製作も行っている。2021年にMDAC Productionsを設立し、国際的に有名なアーティストをアートの隣接業界へ進出させる。ダングルジャン＝シャティヨンは、サマセット・ハウス（ロンドン）と、AI時代における芸術機関の役割、意味、機能に関する研究を支援する財団「Art Institutions of the 21st Century（AI21C）」の理事を務めている。

アルカの手による超越的かつ逸脱的な作品群は、アーティストとアートの間、人間とテクノロジーの間、アヴァンギャルドとポップの間、そして音楽からビジュアル・アート、ファッションに至るまで、長年越えられぬと思われていた障壁を崩壊させ、彼女の消えない足跡を残した。2021年のKICKシリーズは、アルカのキャリアに新たな局面をもたらし、実験的な逸脱者のアイコンから、本格的な世界的文化現象、ラテンアメリカ音楽の先駆者へと昇華させた。それ以来、アルカは2つのラテン・グラミー賞と1つのグラミー賞にノミネートされている。ジャン・ポール・ゴルチエ、ロエベ、アクネ・ストゥディオズ、ディオール、プロエンザ・スクーラー、リーボック、ビレド、バイレード、ボッテガ・ヴェネタ、ミュグレーなどのレーベルと協働し、作曲も手がけている。レディー・ガガ、ビバリー・グレン・コープランド、ローリー・アンダーソンの楽曲のリミックスを手がけ、バルセロナとパリでビヨンセのルネッサンス・ワールド・ツアー、バルセロナでマドンナのライブ、そして最近はニューヨークでLadyLandフェスに登場した。2023年秋、パーク・アヴェニュー・アーモリーでのレジデンシー公演「Mutant;Destrudo」、2024年3月、Bourse de Commerce（パリ）におけるパフォーマンス作品「The Light Comes in the Name of the Voice」に続き、故郷ベネズエラのカラカスで初のヘッドライン・ショーを行い、その後ベネズエラの友人やDJたちとボイラー・ルームのライブ・セットで注目を集めた。2019年、アルカはブロンズを探求し始め、革新的なAIソフトウェアを使用し、フィリップ・パレーノとニコラ・ベッカーと共同作業してMoMAの新ロビーのためのオートポイエティック（自己創出）な作品を制作した。

小説家。2009年「流跡」でデビュー。2010年、同作で第20回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を最年少受賞。2011年「きことわ」で第144回芥川賞を受賞。

2012-2014年にかけて国東半島アートプロジェクトツアー 飴屋法水×朝吹真理子『いりくちでくち』を発表。2022年「Reborn-Art Festival 2021-22」で画家弓指寛治と展示作品「スウィミング・タウン」を制作。

アニルバン・バンディオパダヤイは、つくば市にある国立研究開発法人物質・材料研究機構（NIMS）の主幹研究員。2004-5年、コルカタのインド科学育成協会（IACS）で超分子エレクトロニクスとマルチレベルスイッチングの研究に従事し、博士号を取得。バンディオパダヤイは、画期的な共鳴鎖ベースの完全ヒト脳モデルを開発し、共鳴鎖のギャップを埋めることが鍵となる代替ヒト脳地図を開発した。彼のグループは、未来型ロボットのために、自ら学習し、プログラムし、問題を解決する有機脳ゼリーや、自ら複雑なコードを書くソフトウェア・シミュレーターを設計・合成してきた。著書に『Nanobrain：The Making of an Artificial Brain from a Time Crystal』（2020年）。

ニコラ・ベッカーは映画音響の世界で、サウンドエンジニア、デザイナー、フォーリーアーティスト、作曲家として多方面で活躍している。アルフォンソ・キュアロン監督の『ゼロ・グラビティ』（2013年）、アレックス・ガーランド監督の『エクス・マキナ』（2014年）、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『メッセージ』（2016年）、アレハンドロ・イニャリトゥ監督の『バルド、偽りの記録と一握りの真実』（2022年）などの受賞作を手がけ、世界の映画界で高い人気を誇っている。ベッカーはダリウス・マーダー監督の『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』（2019年）でアカデミー賞音響賞を受賞した。彼は音の熱心なコレクターであり、作品制作のための豊富な貯蔵庫ともなる膨大な音の素材ライブラリを蓄積している。サウンドデザインへのアプローチにおいて、ベッカーはユニークな音の構造を作り上げ、その手法は現代アートの領域と密接な接点を持つものである。

ジェームズ・チンランドは、長編映画やテレビの世界観構築で知られる、アメリカのプロダクション・デザイナーで、数々の賞を受賞してきた。『ザ・バットマン』（2022年）、『ライオン・キング』（2019年）、『猿の惑星：新世紀』（2014年）、『レクイエム・フォー・ドリーム』（2000年）などで知られる。また、ルイ・ヴィトン、シャネル、ナイキ、アップルなどのビデオ、印刷広告、ファッションショーのデザインも手がけている。現在、『ザ・バットマン2』やベニー・サフディ、フィリップ・パレーノ監督の長編映画を製作中。

メアリー・ヘレナ・クラークは、映像、サウンド、彫刻、写真を駆使して活動するアーティスト。実験映画を背景に持つ彼女の作品は、モンタージュとエッセイ形式を頻繁に組み合わせ、人間と動物、人工物と自然、センスとナンセンスの間で作り上げられた差異に疑問を投げかける。近年の展覧会に、「Conveyor」Bridget Donahue（ニューヨーク、2023年）、「Neighboring Animals」Cushion Works（サンフランシスコ、2023年）、「A Green Shade」MIT List Visual Arts Center（ケンブリッジ、2019年）、「Unboxing： Doublespeak」 Museum of Contemporary Art Detroit（デトロイト、2019年）、「A Casual Pincer」 AWHRHWAR（ロサンゼルス、2019年）、「Audible Bacillus」 Ezra and Cecile Zilkha Gallery（ウェズリアン大学、ミドルタウン、2019年）など。彼女の作品は、サンダンス映画祭、ロッテルダム国際映画祭、ニューヨーク映画祭、トロント国際映画祭、香港国際映画祭、シネマ・ドゥ・リール、2017年ホイットニー・ビエンナーレなどで上映されている。

フリーダ・エスコベドは2006年にメキシコシティに自身の名を冠した建築事務所を設立。母国で一連のコンペ受賞プロジェクトを強みに築かれたこの事務所は、2018年、ロンドンのケンジントン・ガーデンズで毎年開催されるサーペンタイン・パビリオンの設計という名誉ある指名を受けて以来、その評判が世界的な広がりを見せている。建築物や実験的な保存プロジェクトから、一時的なインスタレーションや公共彫刻、オブジェ、出版物、展覧会のデザインに至るまで、エスコベドは多岐にわたるスケールや表現手段で活動し、伝統的な分野の境界線を越えている。2021年、ニューヨークのメトロポリタン美術館の新しい近現代アートウィングを設計する建築家に任命され、同美術館の建物を設計した最年少かつ初の女性建築家となった。また、エスコベドの事務所は、ポンピドゥー・センター2030年の改修を率いるモロークスノキ建築設計のアソシエイト・デザイナーに選ばれている。エスコベドは建築家として数々の栄誉に浴しており、実務に加え、アメリカ名門大学の大学院で教鞭も執っている。

FABRYXは、アマゾンのシャーマンが植物と対話するように、鉱物と対話することを使命とする分散型鉱物芸術ギルドである。そのメンバーには、アーティスト、エンジニア、デザイナー、キュレーター、ミュージシャン、科学者、弁護士、そしてさまざまな伝統知の直系継承者が含まれる。その製品は、古代の建築と現代のコンピューティングという巨石文化的かつ微細的な芸術の知識を組み合わせ、創造的な洞察力を刺激することで癒しを与える。ギルド・ロッジは、フランス・パリから西へ1時間の田舎、レ・ロゾーの元銅精錬所にある。そこでは、メンバーたちがレジデンシーやリトリート・プログラムに参加し、鉱物の領域と視点を融合させるための斬新なプロトコルである「ミネラル・ディエタ」を開発している。このプログラムは、AIを使ったバイオフィードバック*の特注フローティング・タンク**「アルゴ」での長時間のセッションによって活性化される、儀式化されたデトックスと再石灰化で構成されている。

「ミネラル・ディエタ」で生成されたデータは、ユーザーが変性意識状態や夢体験に取り組むことを可能にする消費者向け製品に力を与える基礎AIモデルを訓練するために使用される。ギルドの成果の大半はオープンソースであり、フランスで3歳から12歳の子どもたちが通う実験的な学校をサポートしている。また、そのプロトコルや製品から派生した展覧会も企画している。

1971年北海道生まれ。東京大学工学部建築学科卒業後、2000年藤本壮介建築設計事務所を設立。2014年フランス・モンペリエ国際設計競技最優秀賞（ラルブル・ブラン）に続き、2015、2017、2018年にもヨーロッパ各国の国際設計競技にて最優秀賞を受賞。国内では、2025年日本国際博覧会の会場デザインプロデューサーに就任。2024年には「（仮称）国際センター駅北地区複合施設基本設計業務委託」の基本設計者に特定。主な作品に、ブダペストのHouse of Music （2021年）、マルホンまきあーとテラス 石巻市複合文化施設（2021年）、白井屋ホテル（2020年）、L'Arbre Blanc（2019年）、ロンドンのサーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2013 (2013年)、House NA （2011年）、武蔵野美術大学 美術館・図書館（2010年）、House N（2008年）等がある。

ベルリンとパリを拠点に活動するアーティスト。主な個展に、Palais de Tokyo & Lafayette Anticipations（パリ、2022年）、Fondation LUMA（アルル、2022年）、森美術館（東京、2021年）、TANK Shanghai（上海、2019年）、Accelerator Konsthall（ストックホルム、2019年）、ティンゲリー美術館（バーゼル、2019年）、ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館K20（デュッセルドルフ、2016年）、 ユリア・ストシェック・コレクション（デュッセルドルフ、2015年）、MoMA PS1（ニューヨーク、2013年）、ハマー美術館（ロサンゼルス、2013年）、ニコラ・トラサルディ財団（ミラノ、2012年）、シンケル・パヴィヨン（ベルリン、2012年）、ポンピドゥー・センター（パリ、2011年）、 クンストヴェルケ現代美術センター（ベルリン、2011年）、クンストハーレ・バーゼル（バーゼル、2010年）。主なグループ展に、バイエラー財団（スイス、2024年）、カルミニャック財団（ポルケロール、2022年）、ヘルシンキ現代美術館（ヘルシンキ、2022年）、パレ・ド・トーキョー（パリ、2021年）、ユリア・ストシェック・コレクション（ベルリン、2021年）、GAMeC（ベルガモ、2021年）、ハンブルガー・バーンホフ（ベルリン、2020年）など、 第58回ヴェネツィア・ビエンナーレ（2019年）、フィンセント・ファン・ゴッホ財団（アルル、2019年）、クリーブランド・トリエンナーレ（2018年）、グロピウス・バウ（ベルリン、2018年）、ルイ・ヴィトン財団（パリ、2018年）、ARoSトリエンナーレ（オーフス、2017年）、紅磚美術館（北京、2017年）、ハーシュホーン美術館・彫刻庭園（ワシントンD. C.、2017）、ヘイワード・ギャラリー（ロンドン、2016年）、第13回リヨン・ビエンナーレ（2015年）、第54回ヴェネツィア・ビエンナーレ（2011年）、光州ビエンナーレ（2010年）、第5回ベルリン・ビエンナーレ（2008年）。

チェスター生まれ。現在はロンドンおよびサフォークを拠点に制作活動。2022年ロイヤル・アカデミーの正会員（彫刻部門）に選出。2019年アーモリー・ショーにてポメリー賞、2017年大英帝国勲章、2009年チューリッヒ芸術賞受賞。

新世代のコンセプチュアルアートの実践者であるライアン・ガンダーはその多彩な作風で知られている。身の回りにある日用品にヒントを得た作品や、言語からインスピレーションを得たもの、文化の差異を主題とするものなど、ガンダーがとりあげるテーマは多岐にわたるが、そこには常に新しい知覚や認識を開くポータルとしてのアートのエネルギーとその可能性の呈示がコンセプトとして存在する。ガンダーは「岡山芸術交流2016 開発」にて「墜落した隕石」状の作品を展示し、アートファンのみならず市民の注目も集めた。主な展覧会に、「ライアン・ガンダー：ユー・コンプリート・ミー」ポーラ美術館（神奈川、2025年）、「Together, but not the same」福岡醤油ギャラリー（岡山、2025年）、「Grunts, hoots, whimpers, barks and screams」ヘルガ・デ・アルヴェアール現代美術館（カセレス、2024年）、「ライアン・ガンダー われらの時代のサイン」東京オペラシティアートギャラリー（東京、2022年）、「The 500 Million Year Collaboration」クンストハレ・ベルン（ベルン、2019年）、「ライアン・ガンダー―この翼は飛ぶためのものではない」国立国際美術館（大阪、2017年）など。第10回リバプール・ビエンナーレ（2018年）、第12回ハバナ・ビエンナーレ（2015年）、第9回上海ビエンナーレ（2012年）、ドクメンタ13（カッセル、2012年）、第54回ヴェネツィア・ビエンナーレ（2011年）など国際展への参加も多数。

1964年アイスバーリー生まれ、現在、ニューヨークにて制作、活動。
リアム・ギリックは、ニューヨークを拠点に、インスタレーション、ビデオ、サウンドなど多様な形式で作品を制作している。アーティストとしてだけでなく、理論家、キュレーター、教育者としても活躍し、エッセイやテキストの出版、講演、キュレーション、共同プロジェクトなど、幅広い活動を行う。ギリックの作品は、経済、労働、社会組織の美学を含む、産業革命後の様相における生産条件を反映している。その作品は、グローバル化した新自由主義的総意の中で、抽象と建築としてのモダニズムの遺産が機能不全に陥っていることを暴き、形式としての展覧会の構造的再考にまで及ぶものである。2000年代後半からは、文化人としての現代アーティストが永続的に変容していくことを踏まえ、『Margin Time』（2012年）、『The Heavenly Lagoon』（2013年）、『Hamilton: A Film by Liam Gillick』（2014年）など創造的な人物像の構築に取り組む短編映画を多数制作している。著書には、2016年3月にコロンビア大学出版局から出版された『Industry and Intelligence: Contemporary Art Since 1820』がある。

ドクメンタ、ヴェネツィアやベルリン・上海・イスタンブールのビエンナーレなど、数々の重要な展覧会に作品を出展。2009年にはドイツ代表としてヴェネツィア・ビエンナーレに参加した。主な個展に、シカゴ現代美術館、ニューヨーク近代美術館、ロンドンのテートなどがある。ギリックの作品は、パリのポンピドゥー・センター、ニューヨークとビルバオのグッゲンハイム美術館、ニューヨーク近代美術館など、多くの重要なパブリック・コレクションに収蔵されている。この25年間、ギリックは現代美術分野で著述家・批評家としても活躍している。『Artforum』、『October』、『Frieze』、『e-flux Journal』などに寄稿し、批評選集を含め、多数の書籍を上梓してきた。ほかに、ロンドンの英国政府内務省庁舎や、フランクフルトのルフトハンザドイツ航空本社などの公共空間における作品も注目を集めている。同時にギリックは、自身の活躍の場を広げ、フィリップ・パレーノ、ローレンス・ウィナー、ルイーズ・ローラー、アダム・ペンドルトンといったアーティストたちとの協働、マンチェスターとトリノ、ウィーンでロックバンドのニュー・オーダーとの共同コンサート開催など、実験的な場所での活動や共同プロジェクトにも力を注いでいる。

ホリー・ハーンダンとマシュー・ドライハーストは、機械学習、ソフトウェア、音楽の分野で先駆的な活動を行うアーティストとして広く知られている。彼らは自らのテクノロジーや他者のテクノロジーと共存するシステムを開発し、デジタルアイデンティティと声の所有権および拡張に重点を置くことが多い。これらの技術的プロトコルは、メディアを超えて広範な作品を実現するだけでなく、それ自体が一種の芸術作品として提案されている。2024年には、サーペンタイン・ギャラリーで個展「The Call」を開催し、ホイットニー・ビエンナーレにも参加した。彼らはまた、パブリックドメインAIモデルとデータインフラを構築する組織「Spawning」を共同設立した。彼らの批評家から高く評価されている音楽作品は、4ADおよびRVNG Intl.からリリースされている。ホリー・ハーンダンはスタンフォード大学CCRMAでコンピュータ音楽の博士号を取得しており、マシュー・ドライハーストはほぼ独学で学んできた。彼らはNYU、ヨーロッパ大学院、バーググルーエン・インスティテュートのアンティキティラ・プログラムで教員職を務めてきたほか、2022年にはデジタルアートのためのArs Electronica STARTS賞を受賞し、2024年にはオーストリア初のデジタル人権賞を受賞している。ホリー・ハーンダンは、ベルリン・アーティスティック・リサーチ・プログラム（2024/25）のフェローを務める。

1988年にNHKドラマ『海の群星』で俳優デビュー。1993年に日本テレビ系連続ドラマ『彼女の嫌いな彼女』でドラマ初主演を果たした。1997年には宮崎駿監督のジブリ作品映画『もののけ姫』でヒロイン・サン役の声優を務め、デビューから現在まで数多くの映画やドラマに出演しながら、執筆・音楽活動など多岐にわたり活動している。

近年の主な出演作は、TBS日曜劇場『さよならマエストロ〜父とアパッシオナート〜』（2024年）・NHK連続テレビ小説『虎に翼』（2024年）・映画『劇場版TOKYO MER～走る緊急救命室～南海ミッション～』（8月1日公開）など。

Isolariiはニューヨークとロンドンを拠点とするメディア企業である。設立以来、文学における従来の常識ーその美学や流通、目的などーを打破する試みにおいて評価されている。Isolariiの書籍は、今日最も急進的な組織や人物の図式を提示している。出版物の著者に残雪やスコラスティック・ムカソンガ、ロバート・クーヴァー、アート・スピーゲルマン、エドゥアール・グリッサンなどがいる。2020年後半以降、同社は環境イニシアティブ（『Salmon: a Red Herring』）の触媒となったり、ヨーロッパ全土でフェミニスト抗議のシンボルとなったもの（『F-Letter』）を配布したり、キーウから国際的に同時配給されたルポルタージュ（『War Diary』）を制作した。岡山芸術交流2025では、Isolariiはシモーヌ・ヴェイユが1933年から1943年に亡くなるまで綴った全ノートを初めて編纂した『Decreation』を刊行する。

アレクサンドル・コンジは、フランス・パリを拠点に活動するコンセプチュアル・アーティスト。ニューヨークのバード大学で学士号、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで修士号を取得。主な展覧会に、「Air de Repos（Breathwork）」CAPCボルドー現代美術館（ボルドー、2024年）、Maureen Paley（ロンドン、2024年）、Shivers Only（パリ、2023年）、LUMA（アルル、2021年）など。なお、Sweetwater（ベルリン、2025年）で個展が予定されている。

ミレ・リーは、みすぼらしく、滑稽で、不安定に見えるキネティック彫刻インスタレーションを制作することで知られるアーティストである。リーの作品は、自分らしさ、社会的受容性、清潔さといった概念に挑戦しており、オーガズミック、逸脱的かつキネティックなテクノロジーを前に、美学や欲望に関する社会の慣習を消し去っている。最近の個展に「Black Sun」New Museum（ニューヨーク、2023年）、「Carriers」Tina Kim Gallery（ニューヨーク、2022年）、「Look, I'm a fountain of filth raving mad with love」ZOLLAMT MMK（フランクフルト、2022年）、「Carriers」Art Sonje Center（ソウル、2020年）など。また、2024年10月にテート・モダンで幕を開ける「Turbine Hall Commission 2024」アーティストにも選出されている。

ロンドンのサーペンタインのアーティスティック・ディレクター、LUMAアルルのシニア・アドバイザーを務める。1991年の初展示「ワールド・スープ（キッチン・ショー）」以来、350以上の展覧会をキュレーション。なかでも代表的なものに、「Do It」シリーズ（1993年~）、「Take Me（I'm Yours）」（ロンドン、1995年；パリ、2015年；ニューヨーク、2016年；ミラノ、2017年）、第14回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展のスイス館（2014年）などがある。オブリストはまた、「Cities on the Move」シリーズ（1996年-2000年）、「Laboratorium」（1999年）、でのオペラグループ展「Il Tempo del Postino」（マンチェスター、2007年；バーゼル、2009年）、「The 11, 12, 13, 14, 15 Rooms」シリーズ（2011-2015）の共同キュレーションも手がけた。最近の主な展覧会に、ミラノ・トリエンナーレでのエンツォ・マリ展（2020年）、ポンピドゥー・センター・メスでの「WORLDBUILDING」（2023年）、ユリア・シュトーシェック・コレクション展（デュッセルドルフ、2022年）などがある。2011年にはCCSバード賞キュレーター部門、2015年には国際フォルクヴァング賞を受賞。最近では、アメリカ鑑定家協会より2018年度優秀芸術賞を受賞した。オブリストは、学術機関や美術機関で国際的に講義を行い、複数の雑誌やジャーナルの寄稿編集者でもある。近著に『Ways of Curating』（2015年、邦訳：『キュレーションの方法：オブリストは語る』）、『The Extreme Self: Age of You』（2021年）、『140 Artists' Ideas for Planet Earth』（2021年）、『Edouard Glissant：Archipelago』（2021年）、『James Lovelock：Ever Gaia』（2023年）、『Remember to Dream!』（2023年）、『Une vie in progress』（2023年）など。

プレシャス・オコヨモンはナイジェリア系アメリカ人の詩人であり、アーティストである。その作品において、オコヨモンは自然界、移民と人種差別の歴史、日常生活の純粋な喜びについて考察している。LUMA Westbau（チューリヒ）、フランクフルト現代美術館（フランクフルト）、パフォーマンス・スペース・ニューヨーク（ニューヨーク）、アスペン美術館（アスペン）、The Sandretto Re Rebaudengo Madrid Foundation（マドリード）で個展を開催。バルティック・トリエンナーレ13（タリン、エストニア）、第58回ベオグラード・ビエンナーレ（ベオグラード、セルビア）、第59回ヴェネツィア・ビエンナーレ（ヴェネツィア）、岡山芸術交流2022（岡山）、第11回シークエンス・ビエンナーレ（レイキャビク）等の国際芸術展に参加した他、インスティテュート・オブ・コンテンポラリー・アーツ（ロンドン）、LUMA Westbau（チューリッヒ、スイス）、Schinkel Pavillon（ベルリン、ドイツ）、LUMA Arles（アルル、フランス）、パレ・ド・トーキョー（パリ）、第60回ヴェネツィア・ビエンナーレ　ナイジェリア・パビリオン（ヴェネツィア）、バイエラー財団（バーゼル）などでのグループ展に参加している。またオコヨモンの作品は、フランクフルト現代美術館（フランクフルト）とLUMA Arles（アルル）のパーマネントコレクションに収蔵されている。2021年フリーズ・アートフェア・アーティスト賞、2021年シャネル・ネクスト・アート賞受賞。2024年には2冊目の詩集『But Did You Die?』 がSerpentineおよびWonder Pressから共同出版された。

ヴェレナ・パラヴェルは、映画作家、アーティスト、視覚人類学者。作品は、芸術がもつ「ネガティブ・ケイパビリティ（否定的能力）」と、人生の流動性への民族誌的なまなざし、そして現代における緊急の生態的・政治的課題への関与とを結びつけている。2006年以降、ハーバード大学のSensory Ethnography Labにて、Lucien Castaing-Taylorと共同制作を行い、現代美術と人類学的リサーチの境界を再構築する独自のドキュメンタリー映画手法を発展させてきた。

主な作品に、『Foreign Parts』（消滅の瀬戸際にあるニューヨークのジャンクヤードのポートレート）、『Leviathan』（2012、人類と海洋資源搾取を描く身体的映像体験）、『Somniloquies』（2013、世界でもっとも多弁な夢遊病者の夢の録音から構成された映像エッセイ）、『Ah Humanity!』（2015、福島と人類の脆弱性をテーマとした映像）、『Caniba』（2017、人間のカニバリズムをめぐる瞑想的映像）、『De Humani Corporis Fabrica』（2023、解剖学的・医療的・政治的身体を融合させた前例のないポートレート）などがある。彼女の映画はベルリン、カンヌ、ロカルノ、トロント、ヴェネツィアなどの国際映画祭で上映されており、ニューヨーク近代美術館（MoMA）のパーマネントコレクションにも収蔵されている。また、ヴェネツィア・ビエンナーレ、ドクメンタ14、ポンピドゥー・センター、テート、ホイットニー美術館、バービカン、クンストハレ・ベルリン、MoMA PS1 などでも紹介された。ハーバード大学の客員教授、パリ政治学院（Sciences Po Paris）政治芸術学部の教員を務めるほか、2023-24年にはル・フレノワ国立現代アートスタジオのレジデンス・アーティストとしても活動した。

レイチェル・ローズはニューヨーク在住。彼女の作品は、風景と私たちの関係の変化が、どのように物語や信念体系を形作ってきたかを探求している。ローズの映画は、映画革新の長い歴史から学び、またそれに貢献するものである。低温物理学、アメリカ独立戦争、宇宙飛行士の宇宙遊泳など、どのような探究であれ、彼女は、崇高さと日常が曖昧になるような場所や歴史に私たちの注意を向ける。彼女はこれを絵画、彫刻、ドローイングに反映させ、互いに物質的に反響させながら、目先の時間から百万年単位の膨大な時の流れまで、異なる時間層をつなぎ合わせる試みを行なっている。個展に、 GL STRAND（2023年）、SITE Santa Fe （2023年）、 Gladstone Gallery（2023年）、CC Strombeek（2022年）、Pond Society（上海、2020年）、Lafayette Anticipations（2020年）、Fridericianum（2019年）、LUMA Foundation（2019年）、Philadelphia Museum of Art（2018年）、 Fondazione Sandretto Re Rebaudengo（2018年）、Kunsthaus Bregenz（2017年）、 Museu Serralves, Porto（2016年）、The Aspen Art Museum, Aspen（2016年）、The Whitney Museum of American Art（2015年）、Serpentine Gallery（2015年）、Castello di Rivoli（2015年）など。

ディミタール・サセロフはハーバード大学で星と惑星について研究を行う天文学教授であり、ハーバード大学「生命起源イニシアチブ」プログラムの創設ディレクターでもある。彼の研究は、初期宇宙における宇宙マイクロ波背景の出現から、地球における生命の起源に関する光化学の実験室実験まで、光と物質の相互作用の様式を探求している。20年以上前、サセロフが率いるチームは、後にNASAのケプラーとTESSミッションの共同研究員として、地球のような惑星を見つけるための新しい技術を駆使して、他の恒星を周回する惑星をいくつか発見した。彼の著書 『The Life of Super-Earths』（Basic Books、2012年）は、他の惑星の生命の新たな探索について述べている。 1988年、ディミタール・サセロフはソフィア大学（ブルガリア）で物理学の博士号を取得し、1990年にはトロント大学で天文学の博士号を取得した。1999年、アルフレッド・P・スローン・フェローとなる。数々の賞ーNASA業績賞2つ、名誉博士号（ソフィア大学）、オックスフォード大学アスター・レクチャーシップなどーを授与され、DLDやTED、ダボス会議などで講演を行っている。物理科学と生命科学を橋渡しする学際的な研究活動であるハーバード大学「生命起源イニシアチブ」プログラムの創設ディレクターであると同時に、サイモンズ財団「生命起源共同研究計画」の創設共同ディレクターでもあり、2023年には国際的な「Origins Federation」の創設に貢献し、現在はその理事長を務めている。ハーバード大学ラドクリフ高等研究所のシニア・サイエンス・アドバイザー、世界経済フォーラムの宇宙安全保障に関するグローバル・アジェンダ・カウンシルのメンバーをも歴任。

同世代で最も重要なアーティストの一人として広く評価されている。セーガルに対する批評家たちの称賛は、「構築された状況」という形をとる彼の先鋭的な芸術的実践に由来する。その儚い美しさは、刹那的な出会いの特異性にあり、プレイヤーはしばしば作品の構成に積極的に参加することで、来場者を魅了する。フィリップ・パレーノとは長い共同制作の歴史がある。ドイツのエッセンにあるフォルクヴァング芸術大学でベルリンの政治経済とダンスを学ぶ。彼の作品は国際的に数多くの個展やグループ展で展示されており、特にバイエラー財団（バーゼル、2024年）、Desert X AlUla（サウジアラビア、2024年）、Centro Botín（サンタンデール、2023年）、Remai Modern（サスカトゥーン、2022年）、小田原芸術文化振興財団（小田原、2019年）、Officine Grandi Riparazioni（トリノ、2018年）； V-A-C財団（モスクワ、2017年）、バイエラー財団（バーゼル、2017年）、Jemaa el-Fna（マラケシュ、2016年）、パレ・ド・トーキョー（パリ、2016年）、ステデライク美術館（アムステルダム、2015年）、マルティン・グロピウス・バウ（ベルリン、2015年）、ピナコテカ・CCBB（サンパウロ・リオデジャネイロ、2014年）、ウレンス現代美術センター（北京、2013年）、テート・モダン（ロンドン、2012年）、ソロモン・R・グッゲンハイム美術館（ニューヨーク、2010年）、クンストハウス・ブレゲンツ（ブレゲンツ、2006年）など。

島袋は、沖縄県那覇市に在住し、国際的に活躍する日本人コンセプチュアル・アーティストである。1990年代初頭より、国内外を問わず様々な場所を旅し、また彼の作品は、サイトスペシフィックで、その場所で暮らす人々の場所、生活、文化に関わっている。新たなコミュニケーション形態に関連したパフォーマンス、映像、彫刻、インスタレーション作品などで知られる。彼の作品は時に生き物と人間の関係性にも及ぶ。詩情とユーモアに溢れ、隠喩的な方法で観る者を挑発する作風は、国際的に高い評価を得ている。主要な国際展に、第57回ヴェネツィア・ビエンナーレ（2017年）、第14回リヨン・ビエンナーレ（2017年）、第12回ハバナ・ビエンナーレ（2015年）、第9回台北ビエンナーレ（2014年）、第11回シャルジャ・ビエンナーレ（2013年）、第27回サンパウロ・ビエンナーレ（2006年）、リバプール・ビエンナーレ（2006年）、第11回シドニー・ビエンナーレ（1998年）など。最近の主な個展に、セントロ・ボティン（サンタンデール、2024年）、ムゼイオン：ボルツァーノ現代美術館（ボルツァーノ、2023年）、ヴィールズ現代美術センター（ブリュッセル、2022年）、モナコ新国立美術館（モナコ、2021年）、Crédac-イヴリー現代美術センター（イヴリー＝シュル＝セーヌ、2018年）、クンストハレ・ベルン（ベルン、2014年）、Icon Gallery（バーミンガム、2013年）など。島袋は岡山芸術交流の「アーティスティック・トランスレーター」を務める。

サウンドウォーク・コレクティヴは、創設者・アーティストのステファン・クラスニアンスキーとプロデューサーのシモーネ・メルリによるコンテンポラリー・ソニック・アーツ・プラットフォーム。アーティストやミュージシャンを交えながら、コンセプチュアルで文学的または芸術的なテーマを検証するために、その場所や状況に特化したサウンド・プロジェクトを展開している。サウンドウォーク・コレクティヴは、ミュージシャンのパティ・スミス、映画監督のジャン＝リュック・ゴダール、写真家のナン・ゴールディン、振付師のサシャ・ヴァルツ、女優兼歌手のシャルロット・ゲンズブールらと長期的なコラボレーションを展開。彼らの活動は、アートインスタレーション、ダンス、音楽、映画などのメディアを横断して、音の物語的な可能性に関与している。最新のオリジナル音楽担当作品『美と殺戮のすべて』（監督：ローラ・ポイトラス）は、2022年ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞。2024年には、アテネのオナシス財団、ニューヨークのBAM、メデジンのMAMM現代美術館で、パティ・スミスとの新作展示とパフォーマンス「Correspondences」を発表した。サウンドウォーク・コレクティヴは、BAM、CCBリスボン、ポンピドゥー・センター、CTMフェスティバル、ドクメンタ、KWインスティテュート・オブ・コンテンポラリー・アート、ルーヴル・アブダビ、マニフェスタ、ザハ・ハディドによるモービル・アート・パビリオン、ニュー・ミュージアム、リートハウス、TPMMトビリシ、フォルクスビューネ・ベルリンなど、数多くの芸術・音楽施設やイベントでパフォーマンスや展示を行っている。

- 人間の体験をデザインする者
ラムダン・トゥアミは、パリを拠点とするフランス系モロッコ人のデザイナー、クリエイティブ起業家。空間、文化、人間の相互作用が交差する領域を横断しながら活動を展開している。単なるブランド構築を超え、美学、物語、空間設計が融合するエコシステムを創出する。2000年代初頭には、フランス初期のギャラリー兼コンセプトストアのひとつ「L'?picerie」を設立。その後、世界最古のキャンドルメーカー Cire Trudonを再生させ、さらに Officine Universelle Bulyを共同設立。歴史的遺産を、没入型で多感覚的な空間として再構築する手法を確立した。自身が主宰するエージェンシー Art Recherche et Industrie では、すべてのプロジェクトを社内で完結。オブジェ、インテリア、映像、タイポグラフィ、パッケージ、ツールなどを学際的チームと共に設計・制作している。商業と文化、販売行為と文化的儀式の境界を溶かし、感情に訴えると同時に視覚的にも洗練された空間を生み出すことに注力する。レオナール・ヴェルネとの共作により、ギャラリー兼出版レーベル「Permanent」を設立。新進アーティストや実験的なフォーマットを支援するプラットフォームとして機能している。2023年にはスイス・アルプスに Hotel Drei Berge を開業。2024～2025年には、販売、ホスピタリティ、出版、プロダクトデザインといった複数の領域にまたがり、自然との新たな関係性を再構築するプロジェクトを展開予定。また、音を空間体験として探求するプロジェクトとして、音声プラットフォーム「Pseudo Radio」とその24時間ライブストリーム「Music for Hikers」を展開。アルプスの孤独感と高揚感を音として可視化している。店舗、香り、音といった異なる形式を通じて、ラムダン・トゥアミの仕事は、出会い、移動、意味の生成といった人間の基本的な行為に対して、常に再魔術化を試みている。

アンガラッド・ウィリアムズ（ウェールズ・モーン島生まれ）の作品は、私たちの生活や環境を支配する力学についての内省と批判的な考察を促す。ペインティング、ドローイング、ライティング、彫刻、写真、インスタレーション、映像、パフォーマンスなど、彼女の多面的なアート活動は、内に秘められた、われわれの最も潜在的な欲望や恐怖を投影するスクリーンやフィルターとして機能する形態に目を向けている。これらの時に曖昧な表現は、文章に根ざし、権威や安全、あるいはデザインの問題によって形作られ、個人、コミュニティ、そして彼らの住む風景の主体化の中心となっている。ウィリアムズの作品や展示は、この過程を欲望の集積としてとらえ、それはあらゆる種類のバラックや監禁状態からの脱出の道であると同時に、人類の不安定な性質、生来の野性、その包括的な暴力性と官能性に対する率直な観察でもある。